おまめ note

自閉症児ママによる、自閉症児ママのためのブログ

自閉スペクトラム症兄弟の七五三は、惨敗でした

先送りをしていた、長男5歳・次男3歳の七五三に先日挑戦してきました。

結果、見事に惨敗。

着替えることすらできず、写真は1枚も撮れませんでした。

 

今回ばかりは、いけると思ったんです。

だから、少し、落ち込みました。  

 

誰も悪くないからこそ、どこにもぶつけることのできない憤りを、時間をかけて消化するしかなくて。

どんな励ましの言葉もトゲのように感じ、自分の周りが全て輝いているように見えてしまう。

当たり前のように、みんなと同じように、私も手に入れられると思っていたキラキラを、掴むことができない。

 

一体何度、この感覚を味わえばいいのでしょうね。

自閉症児の子育てというのは、とても孤独で、時に残酷です。

 

本当は、キラキラした思い出を記録したかった。

「自閉症児だって、ちゃんと準備してタイミングさえ合えば、ちゃんと思い出が残せるんだよ」

って、みんなに伝えたかったんです。

今なら、できると思っていたんです。

 

できなかったことを、いくら嘆いても結果は変わりません。

だから、この気持ちをここに残すことで、切り替えたいと思います。

 

誰かが、この気持ちに共感して孤独から救われることを祈って。

誰かが、私の屍を超えて素敵な記念写真を撮れることを祈って__。

 

「家族で和装」憧れを叶えたい

 

「長男5歳・次男3歳のときに、家族全員和装で写真を撮りたい」

という想いが、ずっとありました。

 

ただの私の憧れなんですが、どうしても叶えたい願いでした。

 

でも、現実的に5歳と3歳になった2人の様子から、「無理だろう」という諦めもありました。

勢いに任せた長男3歳の七五三

長男3歳の七五三は、完全に勢い任せでした。

スタジオでの着替えは絶対NG、袴なんぞ着れるわけがない。

写真を撮るからと指示に従うこともできない。

条件は、待ち時間のない・ポーズ誘導なし・人が少ない・できるだけ自由な撮影。

 

長男と次男が赤ちゃんのときに、それぞれ記念撮影でお世話になったスタジオに、「時間勝負で」と撮影をお願いしました。

事前に用意したスーツを自宅から着ていき、着替え等の準備は無し。

スタジオ内は、カメラマンさんと家族のみ。

少しでも長男の気持ちが切れたら即終了なので、小道具を次から次へと出して流れを止めないように必死でした。

20分弱のスピード撮影で、なんとか記念写真を撮ることができました。  

 

その勢いで、神社へ。

祈祷は次回に見送ることにして、お参りだけ。

といっても、境内を走り抜けて終了(笑)

 

七五三シーズンだったので撮影スポットがいくつか用意されていましたが、全くじっとしてくれず。 気付けば、全員泥だらけでした。

なんだったら、神社に行く前におもらしをして着替えた長男は、ほぼ私服だったし(笑)

 

不思議なことに、今になって振り返れば、これはこれで良い思い出になっています。

写真を見返していると、「大変だったけど、楽しかったな」と思えるんですよね。

 

全く静止しない長男。終始ふくれっ面の次男。

それすらも愛おしい。

私たちのワガママに付き合ってくれたことに、感謝です。

 

神社からの帰り道、近い未来に新たな夢を描いたのです。

 

もし、できるのならば、家族4人、和装で写真を撮ってみたい。

 

旦那は「次の七五三は、頑張ってみよう」と、言ってくれました。

 

1年かけて作戦会議

どうにかできる方法はないかと、長男5歳・次男3歳を迎える2022年の年明けてから、ずっと考えてきました。

 

”和装”をするためには、着付けが可能なスタジオを選ぶか、自宅で着付けをするか。

でも、着付けができる人は身近にはいない。

 

  スタジオアリスや、スタジオマリオ のような形式的な形で進むようなスタジオか。

 

 

形式的なスタジオでお願いするなら、閑散期を狙わないと待ち時間が生じるので結構ハードルが高い……。

 

  じゃぁ、袴をレンタルしてスタジオ撮影にする?

マジックテープで着脱するタイプなら、私でも着せることができそう。

 

  出張カメラマンをお願いして、ロケーション撮影もあり。

 

 

   スタジオよりも、外の方が自由に動けていいかな?

 

 

いや、でも、公園嫌いな子だし、逆に何もないところで遊ぶとか無理な気もする……。

 

個人スタジオで、ある程度融通の利く、それでいて着付けもしてくれて、なんか良さそうなところないかなぁ……。

 

なんて思っていたある日。

次男と出かけた先で見つけたおしゃれな個人スタジオ。

 

 

雰囲気もいいし、なんと男性のカメラマン。

長男は、女性より男性の方が好きなのです。

これはありかもしれない……!!

 

長男と次男が自閉スペクトラム症であること、警戒心が強い、不安感が強いこと、着替えができない可能性などを伝えました。

 

すると「一度一緒に見学にきてください」 と。

 

さっそく見学の予約をし、後日家族4人で見学に行ったのですが、このスタジオにお願いすることはありませんでした。

 

カメラマンさん、スタッフの方と相談して、どうにか撮影できる手立てを考えましたが、どうしても”自閉症の特性”の部分で話がすれ違うというか……。

 

「子どもならよくあること」と捉えられてしまう部分が、長男にとっては一番肝心なところで、その温度差がどうしても埋まりませんでした。

 

理解してもらうって、なかなか難しいですね。

 

プランの説明や衣装選び、スタジオの案内などのだんどりがスムーズにいかず、余計な待ち時間が発生。

こういう時間がとても苦手な長男。

落ち着きがなくなり、機材を触ったり、小道具を触るようになり、それを注意されるという負の連鎖。

 

こうなると、もう同じ場所には行けなくなります。

0か100かの性格なので、”次”はないのです。

カメラマンさんとの相性は良さそうに感じたのですが、泣く泣く断念。  

 

その後も、時間を空けて、袴の写真を見せて

 「煉獄さんみたいだね~!(鬼滅好きなわけではない)かっこいいね~!今度着てみる?」

と聞いてみると、 いやーーー!!!!と絶叫、スマホを奪って投げられる……。

 

全くいい案が出ないまま長男は5歳を迎え、何も決まらないまま2023年に。

 

高校の友人たちから届いた年賀状には、いくつもの理想の写真が並んでいました。

 

 

いざ、決戦へ……!!

何度も何度も旦那と話し合いを重ねながら、”その時”を待ちました。

2023年2月、長男5歳5か月、次男3歳11か月。

 

まさかの一番避けていたスタジオアリスでの撮影に挑戦することに。

 

長男はバリア発動、次男は回遊魚に

きっかけは、幼稚園の発表会。

うちの園は衣装屋さんに借りているようで、かなり本格的な衣装なのです。

忍者ダンスで、頭から足元まで全身忍者の格好。

これが、少し袴に似ていたことで和装へのハードルがぐっとさがりました。

 

たまたま近くに来たからという理由だけで、ふらっとスタジオアリスに見学に行くと、案外乗り気な長男。

袴を羽織ってくれ、まんざらでもない様子。

次男も嫌がりつつ、なんだかんだ羽織ってくれて、なしではなさそう。

これがきっかけとなり、スタジオアリスでお願いすることにしました。  

 

後日、正式な衣装合わせでも長男は自分で袴を選びました。

しかし、次男は家を出るときから「行きたくない」と、車から降りることを拒否。

なんとか機嫌をとり、家族全員の衣装が決め、撮影の順序など打ち合わせを終え、あとは当日を待つのみ。

 

長男より、次男のほうが危ういかもしれない……。

旦那も私も、次男への不安はありました。

でも、長男の調子が良ければ、次男もそれに引っ張られて頑張ってくれるだろうと、前向きに考えていました。

 

いざ、撮影当日。

完全に私たちの準備不足により、大失敗に終わりました。

 

長男が、女性スタッフ2人に囲まれて不安感を一気に強めてしまうことも。

次男が回遊魚のように、入口付近でずっとぐるぐる回り続け、何度捕まえても、すぐに逃げ出してしまうことも。

長男に付き添っていた旦那が、一瞬離れたことで長男がパニックになってしまうことも。

どれも想像できたことなのに、準備していませんでした。

 

 「撮影できないかもしれない」

普段なら必ず考えておくBプランを、この日ばかりは用意していなかったのです。

 

成功のイメージしか描いていなかった私たちの、惨敗です。

 

それは、長男の成長に、胡坐をかいてしまっていたから。

次男の変化に気づいていながらも、気にかけてはいなかったから。

 

この5年の経験から、そんなスムーズに事が運ぶわけがないってことを、身に染みて知っているというのにね。

無残に散った5,750円

撮影できない可能性を考えていなかった私は、最初で最後かもしれないからと、旦那の後押しもあり美容院でヘアセットをお願いしていました。

普段なら、できない可能性を考えてそんな博打のようなことはしないのに、何を浮かれていたのでしょうね(笑)

早朝料金も併せた5,720円は無残に散りました。

まぁ、仕方ないのだけどね。

 

撮影が終わったら、初・はま寿司も予約していましたが、「家に帰る!!」の一点張りのためキャンセル。

は、は、はま寿司~~~~(泣)

 

帰り道、旦那と

「なんかこう、やるせないね。誰も悪くないし、どこにもぶつけることのできない。

この憤りというか、悲しみというか、消化しきれないね……」

そんなことを話しました。

 

せめてもの救いは、旦那がこの気持ちに共感してくれたこと。

しかし、旦那は、とにかく切り替えがはやい。

嘆きの会話の直後から、もう完全に切り替えている。

一緒にくよくよ悩まない旦那でよかったような、一緒に打ちひしがれてほしいような、複雑な気持ち。

 

その後、

 

「もうあそこのスタジオには行かれへんから、また時間を空けてチャレンジしよう。

着替えは難しいやろうから、和装じゃなくて、スーツでもいいやん。

私服でもいいし、なんか記念写真撮りに行こう」

 

と、言ってくれました。  

 

たまには、良いこと言うやん(笑)

 

ひとつの形にこだわる必要はなくて、自分たちのやり方で記念に残せればいいんですよね。

 

 

理想はもう一度、心にしまって

前回できたからといって、今回も必ずできるとは限らない。

それは、今回できなかったからといって、この先もずっとできないとは限らないということです。

 

3歳でできた。5歳はできなかった。

じゃぁ、また7歳で挑戦すればいいだけのことなんですよね。

 

>七五三は子どもの成長を祝う行事。お祝いに、年齢制限なんてありません。

 

したいときに、できるときにすればいい。

 

憧れは先送りになってしまったけれど、諦めではない。

 

いつか叶えられる日がきますようにと、心にしまっておくだけのこと。  

 

おまめ