先日、Instagramにこんな質問を頂きました。
「今年、療育にいくかもしれないお子さんを保育しています。どのようにすすめたらいいのか悩んでいます」
これ、めちゃくちゃ難しいですよね。
わが家の場合は、長男の発達が気になりだしたのが私だったので、”第三者に指摘される”という経験がありません。
Instagramのフォロワーさんに「保育者からどのように言われたら、前向きに考えられますか?」と質問。
「発達が気になる子 療育を勧めるにはどう声かける?」で投稿しました。 ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございます!
この投稿を作る中で、どうしても気になることがありました。
そもそも、幼稚園や保育園の先生が「療育を勧めること」「子どもの発達について指摘する」ってOKなの?
再度、Instagramを通して幼稚園経論や保育士の方へ呼びかけたところ、18名の方が応えてくれました。
先生方から頂いたメッセージからは、”子どもたちへの愛情や”がめちゃくちゃ伝わってきました。
このまま私の中だけに留めておくのはもったいなさすぎる! ほんの一部分ですが、こちらにまとめました。
頂いたメッセージの表現は、多少ニュアンス変えております。
また、今回ご協力いただいた保育園・幼稚園の先生方は、あくまでも私のInstagramをフォローしてくれている方たちです。
幼稚園、保育園の先生方全員の意見ではないことをご理解ください。
園側から子どもの発達について伝えることは、あり?なし?
いただいた18名の先生方の意見をまとめると、子どもの発達について保育者から保護者への言及は、「園や自治体の方針による」ということでした。
一番多かったのは「あくまでの園での困りごととして伝え、保護者の反応を見る」という回答でした。
先生たちのお話
園の方針が一番だけど、明らかな集団生活に遅れが目立つ子は、預かる側として、保育士が傍についていないといけないため、お伝えするべきだと思います。
「障害の有無」は絶対に言ってはいけないけれど、「園生活でこういうことに困っている」ということは言っていいと思います。それは定型発達のお子さんでも同じ。
加配をつけるためには診断が必要なので、支援が必要だと思う子については、保育士から保護者へ専門機関について伝えることはあります。
発達のことは気になっても言わず、「ご家庭で任せましょう」という方針の園でした。
私が勤めていた園では、療育を勧めることは親御さんを傷つけてしまうためNG。
保護者の方から「子どもの発達が心配です」と相談された場合のみ、療育のことをやんわり伝えるのはOKでした。
公立の園に勤めていますが、保護者の方から「困っている、心配なことがある」と言われ、園側も専門的な機関にかかったほうがいいと思えば、療育の前の相談できる機関をお伝えします。
「伝える」方針の園でも、療育の話をする前に、子どもの園での気になる様子を共有。
家庭での様子もヒアリングし、保護者の反応を見ながら療育を勧めるか検討していくという意見が多かったです。
最初から「療育にいってください!」という言い方をする園は、ほとんどないようですね!
自治体によっては、地域の保健師と情報を共有し健診で注意してみてもらったり、巡回で来る心理士に様子を見てもらい、心理士と一緒に保護者へ伝えるというところもありました。
先生たちが伝えるときに大切にしていること
どの先生もからも、子どものために、子どもにとって必要な支援や環境を整えてあげたいという思いが伝わってきました。
また、子どもだけではなく「保護者の気持ち」にも寄り添い、慎重に対応してくださっているようです。
子どもの状態をどう捉えているか
日ごろから、園での様子を伝え家庭での様子を確認、保護者が子どもの様子をどのように捉えているのかを確認しているようです。
しかし、「家では困ったことがない」と言われるてしまい、園として何もできなくなってしまうことも……。
保護者に困り感がなければ勧めないし、保護者も気になっているようであれば療育をすすめます。
家で困っていなくても、集団生活・集団行動が難しい子はいます。
保護者の受け止め方によって、家庭での様子を聞くことも慎重になりそうです。
親が受け止められる状態か
保護者が子どもの発達について気にしている様子があるか、普段の様子から慎重に見極めているようです。
「集団生活での困り」「就学に向けての課題」は、親の目線からでは見えにくい部分。
家での様子に困りがない場合、「家庭ではどうですか?」と聞かれると、ドキッとしてしまいますよね。
先生たちがどれだけ支援が必要だと思っても、保護者次第。
親が受け入れられない場合は、園側も加配等を付けられず、困りごとを抱えたまま集団生活を過ごすことになってしまうことも……。
DMを読んでいて、辛くなるようなエピソードがいくつもありました。
親が受け止められなさそうな感じがあれば、現状だけを伝えるというのを何か月も続ける、ということも少なくありません。
”断定的な言い方”はしない
医師ではないため、診断名を出したり、「もしかしたら〇〇かもしれない」「〇〇だと思う」といった伝え方にならないように注意しているそうです。
それでも、子どもの様子について伝えたり、療育のことを話すと「うちの子を障害児扱いするのか!」とクレームになることも。
「保育士ではなく、お子さんが困っている」と伝えるようにしているとのことですが、相手の受け止め方次第なので本当に難しいですね……。
発達を指摘するというより、園生活を送る中で本人が苦手、苦しい、難しいことを伝えて一緒に考えていくようにしています。
親と先生との信頼関係が築けているか
伝え方も大切ですが、それ以前に「親と先生の信頼関係が築けているか」が一番重要なようです。
子どもにとっていい環境を整えるためにも、親と先生の関係性は重要だということは、親の立場でも同じですね。
個人的に、先生たちも「保護者との信頼関係を築きたい」と思ってくれていることを知れて、すごく嬉しかったです。
「保護者への支援」をとても気にかけてくれていて、保護者の悩みや不安を相談するためにと専門機関をすすめるという方もいらっしゃいました。
保護者の方が必要となったときに、専門機関へ橋渡しができるように信頼関係を築くことが大切ですね。
先生の熱い想いに、胸がいっぱい
18名の先生方からのお返事から子どもたちに対する熱い思いが伝わってきて、センシティブな内容だったにも関わらず、胸がいっぱいになりました。
そのほか、先生から頂いたメッセージをお伝えしたいと思います。
保育園の先生がその子の集団の姿に気づいてあげないと、家だけではなかなか気づけないと思います。
  園で困っている姿を目の当たりにしている保育士は、やはり助けてあげたいと思ってしまいます。保護者に伝えるには、相当の覚悟が必要です。
専門機関の存在を伝えたり、子どものためにどうしていくかを一緒に考えることが、福祉施設として必要だと思っています。
  私たちは長くて6年間のお付き合いになります。卒園したら助けることができません。力になってあげたいのですが、保護者次第です。
直接わが子を保育してもらっているわけではないのにこんな風に子どもたちのことを真剣に大切に想ってくれている先生がたくさんいて、本当に嬉しく思いました。
改めて、今回私の質問に答えてくださった18名の先生方、本当にありがとうございました!
「療育」のイメージが変わるといいな
「療育=障害者が通うところ」というイメージが、療育への繋がりにくさの原因の一つだと思います。
「障害者のための場所」ではなく、”子どもや親の困りごとを発達のプロに相談できるところ”という前向きなイメージに変われば抵抗感は減るのかもしれません。
また、共働きの家庭にとっては、療育に繋がるまでの手続きの煩雑さや要する時間は億劫でしかありません。
発達支援は税金で賄われている部分が多く、誰でも彼でも利用できる状態が好ましいとは言えません。 しかし、必要な人が必要な時に、すぐに繋がれる仕組みにはなってほしいなとも思います。
おまめ