おまめ note

自閉症児ママによる、自閉症児ママのためのブログ

支援者向けだからこそヒントが見つかる!|「発達障害児の偏食改善マニュアル」を読んで

自閉症のある子の子育ての悩みTOP3に常に君臨する「偏食」。

大阪府立大学総合リハビリテーション学研究科の調査では「自閉症児の8割が偏食、自閉症児の親の8割が偏食に困っている」という結果があります。

この8割から漏れることなく、我が家の自閉症息子たちも2人そろって偏食です。

長男は現在4歳8か月、以前よりも食べられるものが増えたような気はしていますが、同じ食べ物へのこだわりが強くなってきており、一進一退の状態です。

あまり無理しないように、頑張りすぎないようにはしているけれど、やっぱり栄養のことを考えると少しでも食べらえるものを増やしたい!と思うのが、親心。

同じように偏食に悩む方はたくさんいると思います。

そんな自閉症のある子の偏食に悩む親御さんにおすすめの本がこちら。

完全支援者向けの本なので、手に取るにはかなりハードルの高いし、すすめるのも気が引けるお値段(税込3,300円)。

なんですが!

それでも、偏食に悩む親御さんには是非一度読んでみてほしい……!

 

この本を参考に私なりに長男の偏食を分析し、「偏食改善作戦」を考えてみました。

ぜひ、一緒にお子さんの偏食を分析してみてください!

もし、じっくり読んでみたいなと思ったら、お近くの図書館で借りてみてください!

 

 

「発達障害児の偏食改善マニュアル」の内容は?

児童発達支援センターで取り組んでいた偏食のある子どもたちへの対策をまとめたもので、支援者向けの内容です。

「いや…そこまでできるかよ!!」「調理師ちゃうぞ!」 と言いたくなるレベル。

家庭で同じように取り組むのはハードルは高い、かなり充実した内容です。

それだけ偏食の改善のための長年のノウハウが詰め込まれているということ。

真似をするのは難しいけれど、家庭で取り組むヒントが見つかります。

 

やっかいな「偏食」ですが、勤務する広島市西部こども療育センターでは、本書で紹介するようなさまざまな実践を通じ、偏食を改善に導くことに成功しています。
(中略)入園時、炭水化物のみしか食べられない子どもも多く、大半は炭水化物とたんぱく系の肉や魚のみ食べられる状態でした。 その後対応を実施することで、半数程度は給食を完食できるようになっています。

発達障害児の偏食改善マニュアル」(p14)

 

「こうすれば改善するよ!」という直接的な答えが書かれているわけではないけれど、 「うちのこの偏食はこういう原因があるのかな?」 と気づきを与えてくれます。

それぞれの原因に対する対応方法の中から 「これ試してみようかな!」と思えることがきっとあるはず。

 

専門書だからこそ、きっとわが子の偏食を少しでも改善するためのヒントが見つかると思います!

この本を読んだのは、実は2回目

写真や図解、イラストも多く、料理の本を読んでいるような感覚で読めます。

ただ、感覚の話などの細かい解説はないので、若干理解が難しい部分もあるかもしれません。

 

1回目に読んだときは長男が3歳過ぎたころ。

言葉での指示が伝わらず、意思疎通も難しいような状態でした。

本を参考にして、にんじんをスティック状にして揚げたものを出してみたけれど、手も付けてくれず…。

今思えば、出し方が悪かったのですが、「やっぱり、そんなにうまくいくわけないよね・・・」と撃沈。

当時は今ほど知識もなかったため、書かれている内容をちゃんと理解することもできていませんでした。

初見のものは一切口にしない長男でしたが、4歳を過ぎてから少しずつ新しいものに挑戦する様子が見られるようになってきたので、もう一度読んでみることにしました。

今回読んでみて、改めて内容の充実さに感激でした!

そもそも、偏食とは?

好き嫌いのような「嫌いなものを食べない」のではなくて、「それしか食べられない」という状態のことを偏食と言います。

好き嫌いであれば、味覚の成長や趣味嗜好の変化に伴い「小さいころは食べられなかったけど、大人になったら食べれるようになった」ということがあります。

しかし、偏食は自然に改善されることは難しいです。

偏食の原因が「味覚の好み」「なんかいや」の問題ではないからです。

偏食の原因は4つある

  1. 口腔機能(上手に食べられない)
  2. 感覚(感覚過敏、鈍麻)
  3. 特性(発達のバラつき)
  4. 栄養状態(満腹感)
これらに加えて、食べる前の段階に課題がある場合も。

偏食の改善には、偏食の原因それぞれに対する対策と、食べる前段階の対策とを分けて考える必要があります。

食べられるものに着目

食べられないものがあると、どうにかこうにか「食べられないものを食べられるようにしよう」と躍起になってしまいます。

しかし、それでは原因が見えてこず、改善には繋がりません。

食べられるものに着目し、そこから「食べられるものを広げていく(増やしていく)」ことが大切です。

まずは食べられるものを、リストアップします。

食べられるものから「好きなものの傾向」が見えてくるので、その好きを生かして新しい食材に挑戦していくのです。

長男の偏食を分析

長男の偏食について、実際にリストアップしてみました。

走り書きで字が汚くてすみません…。

書き出してみると、以前は食べていたのに最近作ってなかったものを思い出しました。

完全に偏食に疲れて頑張らなくなっていたようです…(笑)

リストにした後は、「なぜ好きなのか」を分析することが大切です。

リストを見ていると、長男は「具材を小さく切った(角切り以下)もの」が好きなようです。

これは、長男の口腔機能の課題として、咀嚼が苦手(丸のみになりやすい)、前歯で噛み切ることが苦手なことから、塊のものに対して拒否感があるように思います。

また、「味の濃いもの」を好むようです。

カレーやミートソースの中に細かく切った野菜をたくさん入れたり、ひき肉を活用して、塊にならない料理を増やしてみようと思います。

偏食の傾向を分析

続いて、付録の偏食傾向チェックリストを付けてみました。

巻末の付録にあるものをコピーして使用しています。

うーん・・・どの傾向が強い、というのはないようです(笑)

小さいころから口腔内の触覚過敏があり、特に酸味、苦味、触感がやわらかすぎる(むにょむにょしたり、歯ごたえのない)ものが苦手なようです。  

自閉症の特性から「同じ食べものを好む」「知らないものは手を付けない」というのもあります。

これがまぁ、非常に厄介で……。

 

食べられるものリストと偏食傾向から、食べられるものに食べて欲しいものを混ぜてみることに。

実際に、卵焼きにツナを巻いてみたのですが、食べてくれました!

色が変わると駄目だと思うので、真ん中に少量だけにいれてみたのがよかったようです。

次は別の魚を巻いてみようと思います!

ちなみに、次男はすぐに気づいて、えづいていました(笑)

見た目で判断する傾向があるので、見た目を変えずに紛れ込ませることがポイントですね!  

以前は食育もかねて、実物が調理されていく過程を目の前で見せたりもしていました。

認知面の発達のゆっくりさから「最終形態が変わると同じものとは認識できない」ということが多々あり……。

最近は認知面も伸びてきているので、あらためて料理のお手伝いなどを通して食育をしてみることが偏食改善につながるかもしれません。

療育のクッキングに参加させてみようかな!(他力本願…笑)

栄養状態もチェック

カウプ指数と発達曲線もチェックしてみました。

まさかの「太りぎみ」!!

納豆ご飯とうどんを一回で食べたりするので、炭水化物の取りすぎですかね……。

 

カウプ指数が「太りぎみ」なので、もちろん発達曲線からも「食べすぎ」という結果に。

炭水化物、おやつ、ジュースを減らして、野菜類、肉類を増やしていこうと思います。

頑張ろう…。

食と感覚は密接関係

食事から「感覚」は切っても切り離せない関係です。

人間は「見て(視覚)」「嗅いで(嗅覚)」「味わって(味覚)」「感じて(触感)」「聞いて(咀嚼音)」食事をしています。

さらに、顎や口、舌の動かし方や、力の入れ方など「固有感覚」も関係しています。

それぞれの感覚は人によって、感じ方が違い、自閉症のある子はこの感覚のアンバランスさ目立つ子が多いです(感覚過敏、鈍麻)。

苦手な感覚、好きな感覚を観察し、まずは苦手な感覚を避けて好みの感覚で食べる練習をしていくことが大切です。

本の中にも各感覚への対応方法を参考事例とともに書かれていて、これがすごく参考になります!

長男の場合は、お菓子や好む食べ物から「触感のあるもの」を好む傾向なので、固有感覚を刺激してあげるとよさそうです。

また、味覚の過敏と鈍麻が混在しており、鈍麻な部分から「味の濃いもの」を好みがちです。

薄味だと味を感じないんでしょうね。

苦手なものは「好きな味」で挑戦していくことで食べられるものを増やしていきたいと思います。

強制せずに、楽しんで食べられるように

私は、小さいころから好き嫌いがほとんどなく、給食も含めて、外食で困ることはありませんでした。

一方、旦那は好き嫌いが多く「これ食べれれへんの?」「そんなに嫌いなものがあったら人生損やで」と散々言われてきたことが、本当に嫌だったそうです。

そのため、子どもたちに食べられないものを強制することはせず、「食べられないことを不幸」だとは言わないようにしています。

食べられるものが多いことは良いことではあるけれど、食べられないものがあること=悪ではありませんからね。

でも、食べられないものが多いと、就学後の給食でお腹いっぱい食べられないなど、困ることはあるかもしれません(本人が困るかはわかりませんが)。

健康の面でも、栄養の偏りや生活習慣病なども気になります。

 

食べることに喜びを感じるかどうかは本人の問題なので強要はしませんが、同じものを食べて「おいしいね!」と喜びを分かち合う経験を息子たちとしたい。

無理のない範囲で、できることから偏食の改善に向けて頑張ってみようと思います。

 

お子さんの偏食改善の方法を知りたい!という方は、ぜひ読んでみてください!

 

おまめ