平岩幹男先生は、医学博士で、小児科医。これまで、たくさんの発達障害のお子さんと関わってこられました。
様々なメディアで発達障害児の子育てについて発信されています!
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■ Voicy:うさぎ1号
Voicyで言語聴覚士のなな先生と対談されているのを拝聴し、さっそく本を読んでみたのですが……。
もっと早くこの本に出会えていたら、もう少し楽に子育てができたかも!
と思えるくらい、子どもとの関わり方のヒントがたくさん詰め込まれている本でした。
現在、子育てに悩みを抱えている保護者に読んでもらいたい本です!
「幼児期のライフスキルトレーニング」の内容は?
見開き2ページで1つのテーマについて、イラスト付きで解説。対応時のポイントが書かれています。
文字数は少なめで行間もゆったりしており、とても読みやすい本です。
前半は「コミュニケーション編」
0歳からの関わり方について順を追って書かれおり、目安としては就学前まで。
発達年齢がゆっくりなお子さんであれば、それ以上の年齢でも参考になると思います。
「長男が1歳くらいのときにこの本と出合えていたら、もう少し楽に楽しく子育てできたんじゃないかなぁ」
そんなことを感じながら読んでいました。
タイトルに「発達」「発達障害」が入っていないので、どんな子育てにも有用な情報となるでしょう。
後半は「行動編」
食事やトイトレなどの生活動作、”問題行動”への対応方法などが書かれています。
年齢による区切りはなく、お子さんの行動に当てはまる部分だけを読めばOK!
不適切な行動に対してどのように対応するのか、感覚過敏のある子への関わり方など、発達障害の子どもの子育てによくある困りごとが網羅されています。
終盤に、知能検査や手続き関連、就学についてなどがまとめられており、「障害ビジネス」についても触れられています。
さまざまな「効くかもしれない」といううたい文句の治療法や食品、薬剤の宣伝を見かけるかもしれませんが、発達障害に有効であるという科学的根拠のある「食品」「栄養療法」「ビタミン」「水」などは私の知る限りありません。
発達障害の原因は解明されておらず、「これをすれば必ず効果がある」といったことは確立されていません。
耳障りのいい言葉に騙されないようにしたいですね。
ライフスキルトレーニングとは?
ライフスキルには、コミュニケーション、社会生活、学習、運動の4種類があります。
ライフスキルトレーニングとは一言で言えば「大人になるまでにできるようになってほしいことを、それぞれの年齢で少しずつできるようにするトレーニング」です。
日常生活の中でちょっとした工夫をしたり、少しの手間をかけることで子どもの「できない」を「できる」に変えていくことができます。
「喜びの共感」を大切に
ライフスキルトレーニングでは、「喜びの共感」を大切にしています。
これが、めちゃくちゃ大切なんですよ!
以前に「子どもを褒めても、いまいち反応が悪い」という相談を頂いたことがあります。
大人が”褒めているつもり”だけでは、意味がないんです。
大人の言葉で褒めるのではなく、子どもが「嬉しい」と感じる言葉や行動で伝えることが「褒めるポイント」です。
ほめることは、その対象になる行動を見ている大人にとっても、ほめられたと感じた子どもにとっても嬉しいことです。私はこの「喜びの共感」がライフスキルトレーニングの本質だと考えています。ほめられた子どもの笑顔を見たほめた方もほっとする、これが共有です。
実践したいこと
たくさんのアドバイスと具体的な実践方法が書かれている中で、子育ての中で実践していきたいな思ったことを3つ厳選しました。
「〇〇する人~?」「はーい」
子どもが「はーい」と手を挙げて返事をすることで、子ども自身に自分で決めた(自己決定)と思わせる。
→命令形での指示を減らせる。
命令形ではなく希望形で
「〇〇してくれたらうれしいな」と希望形で伝えることで、「〇〇しなさい」といった命令形や「〇〇してはダメ」といった禁止形を減らせる。
→自己決定を促し、実行すれば褒めてもらえるという経験に繋がる。
子どもに質問する
「廊下を走っちゃだめ!」と叱るのを「ここは走るところだったかな?」と質問。 子どもが「歩くところ」と答えられたら、実際に行動させて褒めげあげる。
→不適切な行動を、適切な行動に置き換えていける。
なんだか私は私は叱ることをやめたいみたいです(笑)
本に書かれていることをすべて実行するのは、難しいです。
本の中から自分が取り組めそうな部分だけをやってみる、意識してみるだけでも十分。
最初こそ意識的にしなければなりませんが、継続することで子どもの変化に繋がっていきます!
子育てに大切な3つの「あ」
この本に書かれている3つの「あ」は、子育ての合言葉にしたいなと思いました。
「あせらない」「あわてない」「あきらめない」
発達障害の有無に関わらず、子育てにおいてとても大切なことだと思います。
一つ一つコツコツと
子どもは、自分とは別の意思をもった人間。親の思い通りにはいかないものです。
子どもが理解したり、できるようになるまでに、「教える回数」も必要な「サポートの仕方」も違います。
「こうすればうまくいく」という正解は子育てになく、子どもの”学び方”にあった関わり方を見つけていく必要があります。
この本にはそういった「関わり方のヒント」がたくさん詰まっています。
できるようになればという期待がありますが、うまくいかなくて「どうしてできないの?」と叱る結果になっては前に進んでいけません。
(中略)あせらないで進めて「できる」を増やしてみましょう。一度に歩けるのは一歩だけです。
本に書かれているように、うまくはいかないことの方が多いかもしれません。
それでも、あせらず、あわてず、あきらめずに、一つ一つコツコツと積み上げていきましょう。
診断の有無に囚われないで
保護者にとって、自分の子どもの発達が気になることはよくあると思いますが、医療機関などに相談しても「様子を見ましょう」とか「考えすぎですよ」などと言われてしまうことがあります。
わが子の発達に悩み不安を抱えている保護者に対して、「様子を見ましょう」と言う言葉は何の救いにもなりません。
むしろ余計に追い詰められてしまいます。
しかし、診断が付くか付かないかで全てが決まるわけではありません。
子どもに気になる・困った行動があれば、診断がなくても対応してかまいませんし、専門機関でなければ何もできないというわけではありません。
子どもとの関わり方に悩んでいる、困っていることの原因や対応方法を知りたいという方にぜひ読んでもらいたいです。
おまめ