おまめ note

自閉症児ママによる、自閉症児ママのためのブログ

子どもを育てるって、きっとこういうこと|「ママと呼べない君と」を読んで

 

この本を読み終えたとき、一番強く感じたのは「きっと、”子どもを育てる”って、本来こういうことなんだろうな」ということでした。

 

大切な我が子に願うことは「ただ幸せになってほしい」ということ。

 

そして、毎日の生活の中で、我が子にはたくさん笑っていて欲しい。

 

それは、障害があろうとなかろうと、親として誰もが持つ願いです。

 

”たのしく、あかるく、おもしろい”自閉症のえぬくんとの日々を綴った、温かさとかわいらしさの溢れたえぬくんママの本。

 

発達障害児の子育て界隈では、知らない人はいないのでは?というほどの、InstagramもYouTubeも大人気の親子です。

 

 

ノウハウはないけど、それがいい

「まえがき」に書かれている通り、この本には障害児育児のノウハウや、子育てに役立つヒントは書かれていません(失礼w)。

でも、読み終わった後に、不思議と心が軽くなりました。

 

障害児育児だって、楽しんでいい、かしこまる必要なんてない。

 

もっと、笑顔でいられることを考えよう。

そう、前向きな気持ちにさせてくれます。

 

”ちょうどいい”前向きさ

最初から最後まで、えぬくんママの明るさが伝わってきました。

 

YouTubeを見ていてずっと不思議だったのが、なんでこんなに明るく、楽しく過ごせるのか。

そして、なんで、いつもえぬくんも楽しそうなのか。

もちろん、YouTubeやInstagramで見せているのはほんの一部分で、見えないところでしんどいことも、辛いこともあるのだと思います。

 

こんなことがしたかった。こんな会話がしたかった。

大人になったら……なんて、たくさんあった理想の未来が叶わない現実にショックを受けた時期もありましたが、自然と私の理想はかわっていっていたことにも気が付きました。

 

偏食も、トイトレも、外食も、靴へのこだわりも、全部共感できるし、全部大変なのに、そこに大変さよりも「面白さ」があって、安心して楽しく見ていられる。

 

それは、きっと「こうありたい」という理想ではなくて、えぬくんの笑顔を一番大切にしているからなのでしょうね。

 

障がいがわかったその日に、決めたことがあります。
それは、これからも毎日毎日えぬに話しかけ続けるということ。自閉症でも笑顔でいっぱいの子にしてみせるということ。

 

YouTubeやInstagramで見える限りですが、えぬくんママさんのこの決意があったからこそ、えぬくんはいつもニコニコしているのですね。

明るく前向きで、それでいて、大変なことを大変というのではなくて、いかに面白さに変換するか。

そんなコテコテの大阪魂が、障害のある子の子育ての大変さを”おもしろく”描き出している。

 

ネガティブすぎるとしんどいし、ポジティブすぎると、それもまたしんどい。

えぬくんママの前向きさは、前向きすぎなくて、ちょうどいいんですよね。

 

そして、そこに絶妙な”ゆるさ”がある。 それが、えぬくんとえぬくんママの2人の魅力なのだと思います。

いつも”そのまま”のえぬくん

もう一つ、えぬくんママの素敵なところは、えぬくんを障害特性に当てはめようとしないところだと思っています。

「自閉症だから」「知的障害は」ではなくて、「えぬだから」「えぬは」と、いつでも”そのまま”のえぬくんが主語になっています。

 

今だから格好つけて言うと、「自閉症の特性」「障がいの特徴」という言葉で片付けてしまうと、えぬの本当の姿が見れなくなってしまう気がします。
(中略) たしかに、自閉症児に共通して見られる特性というものはありますが、私は、特性という言葉で一緒くたにするのではなく、えぬがどうしてそういう行動をしているのかという理由を知りたい。

 

我が子が何を好きで、何がしたくて、なぜこんな行動をするのか。

それは、障害特性で説明できるものではなくて、子どもを観察して始めて知ることができること。

 

診断名や障害特性に捉われず、まっすぐ我が子を見ていきたいですね。

 

もっと手を抜いて、ゆるくていい

障害を抱えている子を育てていると、

「周りより頑張らないと」

「他の子に迷惑をかけないように、しっかりしないと」

「こんなんだから、子どもが…って言われないようにしないと」

などと、どうしても頑張りすぎてしまうことがよくあります。

 

でも、えぬくんママのように手を抜けるところは抜いて、自分に甘くなってもいい。

障害のある子の子育てだからって、かしこまらなくてもいい。

ちょっとくらいのことは「ま、いっか」と自分を許してあげるくらいのゆるさを持って、子育てをしていきたいなと思います。

 

好きなものを好きと、美味しいものを美味しいと、えぬと一緒に共感できる時間は、言葉がなくてもえぬと通じ合っているような気がします。

 

子どもを育てるって、きっと子どもを笑顔にしたい、幸せにしたいという無償の愛の連鎖を繋げていくことなんですね。

 

読み終えたとき、我が子の”好き”をもっと見つけたくなる、そんな愛の溢れた温かい素敵な本でした。  

 

いつか、えぬくんが「ママ」と呼ぶ日を願って__。

 

 

 
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