長男が自閉スペクトラム症と診断されてから,これまで、たくさんの発達障害に関する本を読んできました。
その中で、おすすめしたい7冊の本をご紹介します。
発達障害の有無に関わらず、子育てに役立つ素敵な本ばかりです。
気になるものがあれば、ぜひ読んでみてほしいなと思います!
- 「育てにくさ」を感じたら、手に取ってみてほしい
- ”魔法”のように子どもの行動が変わる!
- 生活動作をスモールステップで獲得
- モンテ×感覚統合の最強タッグ
- 難しい本を読むくらいなら、これ読んで!
- お母さまの考え方が、素敵すぎる
- 「多様性」は少数派のための言葉じゃない
「育てにくさ」を感じたら、手に取ってみてほしい
それまで「自閉症とは」「発達障害とは」を正しく知ることが大切だと思っていたけれど、この本を読んで間違っていたと反省しました。
診断名は、あくまでも表面上の困った行動のみに焦点を当てたもの。
本当に大切なことは、診断名ではなくて、その子が「何に困っているのか」「なぜそんな行動をとってしまうのか」理由を知ることなのです。
診断名は手掛かりにはなるけれど、その子を知るためには、もっと「なぜ?」と掘り下げていく必要がある。
とても大切なことを、教えてくれた本です。
フィクションではありますが、乳幼児期~学童期までのリアルな子どもののストーリーには、共感がぎっしり。
それぞれの課題や、その背景に沿った見立てが丁寧に書かれています。
クルクル回るものを見て楽しむ子どもの気持ちが、「自閉スペクトラム症」という記号によって、「回っているものを見て、喜ぶ素質です」といった説明で片付けられてしまうことに強い違和感を覚えます。
子どもたちへの愛情や、丁寧に診察されている姿が、本を通して感じられました。
とても暖かい先生なのでしょうね!いつか、お会いしてみたいです。
乳児期~学童期まで幅広く書かれていますが、特に3歳前後のお子さんがいる保護者におすすめです!
”魔法”のように子どもの行動が変わる!
ABA(応用行動分析)を利用した言葉かけで、ただ「褒め方」を指南する本ではありません。
言葉のかけ方を工夫するだけで、子どもの困った行動を、好ましい行動に変えていく方法が書かれています。
このABAの考え方を理解し、身に付ければ、怒る頻度も格段と減り子育てがぐっと楽になるはず!
生活の中によくある場面や、問題となりやすいシーンが数多く取り上げられており、NG場面とOK場面の両方がイラストとともに描かれているので、とても分かりやすいです。
全部読まなくても、該当する部分だけを読んでもOK!
医学博士の平岩幹男先生が監修されていることもあって、充実した内容です。
「いちばんつらいのは子ども自身なんだ。子どもだって、自制できない自分にいらだち、苦しんでいるんだ。これが、この子のいまの精一杯の姿なんだ」
子どもがいうことを聞いてくれない!と関わりに方に悩んだときに、辞書代わりに読み返しています。
発達障害の有無に関わらず、子どもに関わる人に勧めたい!特に、未就学や言葉の遅れがあるお子さんがいる保護者におすすめです。
生活動作をスモールステップで獲得
ライフスキルとレーニングとは、大人になるまでにできるようになってほしいことを、それぞれの年齢で少しずつできるようにするトレーニングのこと。
就学までに身に付けたいスキルを、一つずつスモールステップで獲得していく方法が書かれています。
見開き2ページにイラストつきで解説されており、必要な部分だけ読んでOK!
せっかちに一度に十歩歩こうとしても、一歩ずつしか歩けません。
長男が赤ちゃん~1歳くらいのときにこの本と出会っていたら、もっと楽に子育てできただろうなと思います。
上記レビューは、平岩先生ご本人からも「私の意図を汲んでいただいて、とてもうれしく感じました」と感想メッセージを頂きました。
巻末に、簡単ですが就学のことについても触れられており、参考になります!
乳児~幼児期のお子さんがいる保護者におすすめです!
モンテ×感覚統合の最強タッグ
インスタグラマーりっきーさん(@ouchi_monte_ryoiku)の本です。
発達障害のあるお子さんを育ててきた苦悩には共感の嵐!
支援に繋がれない、一体何をどうすればいいのかが分からない……。
そんな不安の中から「待ってても仕方ない。私がどうにかする!!」と立ち上がり、モンテッソーリと感覚統合のアプローチに出会ったりっきーさん。 観察と経験、学びの全てが詰め込まれた一冊です。
モンテッソーリの関わり方や教具の作り方、おうちでできる感覚統合のアプローチ方法など、実際に息子さんに実践してきたことがたくさん書かれています。
まさに当時「できるようになったら本人の生活の質が変わるかも!」と思ってたことがここにきて形になってきた実感があります。 それは決して点数化される能力ではありませんが、確実に、着実に、自立へ向かう道のりです。
感覚統合については、知っているのと、知らないのとでは、子どもを見る視点が大きく変わります。
イラストや写真も盛り込まれており、ボリューム満点!読み応えあり! 感覚統合について、こんなに分かりやすく実践しやすい本は初めてです。
長期休暇のおうち時間での過ごし方の参考にもなりますよ。
未就学のお子さんや、感覚に偏りがある子(感覚過敏・鈍麻)、不器用さが目立つ子がいる保護者におすすめです!
難しい本を読むくらいなら、これ読んで!
珍しく父親目線で書かれた、自閉スペクトラム症の息子さんの子育て奮闘記。
と思いきや、当事者の話なのかな?と錯覚を覚えるのほど、ご自身の学生時代の経験や感じていたことも書かれています。
当事者の考えを知れる部分もある、親としての想いにも共感できる、読み終えた後は背中を押してもらえたような気持ちになる、そんな本です。
岡崎さんなりに「自閉症」について解説してくれているのですが、堅苦しい表現ではなくとても親しみやすい文章で書かれています。
正直なところ、何をしていいのかよくわかりませんでしたが、取り合えず目を閉じたり耳を塞いだりするのはやめておこうと思いました。
子どもに障害があるという事実はなかなか飲み込んだり咀嚼したりしにくいので、まるでそんなものはなかったかのように振る舞う戦略もありますが、それでいつの間にか障害の事実が消えてなくなるわけではありません。
思わず吹き出してしまうシーンがあったり、言葉選びのセンスが光る面白い本で大好きです。
難しい本を読んでしんどくなるくらいなら、この本を読んで欲しい!年齢関係なく勧めたい1冊です!
お母さまの考え方が、素敵すぎる
発達障害・ADHDを公表している栗原類さんの幼少期~モデル活動を始めるまでのお話です。
話の流れは漫画で描かれており、シーンごとに栗原類さんの言葉も綴られています。
時折、主治医とお母さまのコメントもあり、このお二人と栗原類さんの関係性がとても素敵。
失敗したら反省し次に生かす、何度も経験を重ね、苦手なことや生きづらさをフォローできる形を親子で作っていく様子が描かれています。
栗原さんの言葉から真面目で実直な姿が垣間見え、障害の有無に関わらずまっすぐ真摯に生きていくことの大切さを感じました。
とにかく、お母さまがすごいんです。尊敬です。
お母さまの「30歳くらいまでになんとかできるようになるといいなと思っています」という言葉に、私は救われました。
発達障害は今この1年をがんばったから、あとはもう大丈夫というようなものでもありません。改善した方が、その後に生きやすくなることは、トレーニングなどを受けた方がいいでしょうが、そのために無理をして生活するのはどうかなと思います。
(中略)手をかけてあげてもあげなくても子どもは失敗するし、成功もする。失敗してもやり直せばいい。そうやって、長い目で見守ることが大事だと思っています。
焦ったり不安な日々が続いたときに読み返すと、もっとゆったりと子どもたちと向き合おうと、初心に戻ることができます。
障害の有無に関わらず、子どもとの関わりにヒントを与えてくれる本です!
「多様性」は少数派のための言葉じゃない
最後に紹介するのは、「子育て」とは少し違うジャンルの本です。
この本こそ全国民に読んでもらいたい、理解してもらいたいと思うくらい、これからの社会にとって必要な考え方だと思っています。
主に自閉スペクトラム症の人たちの特性について、そのメカニズムを説明しながら、多様性についてあらゆる角度から書かれています。
ニューロ(脳や神経)ダイバーシティ(多様性)は、それ自体に優劣があるのではなくて、ただの「違い」でしかありません。
その違いは、環境によって「個性」にも「障害」にもなる。
社会のありようによっては、誰もが多数派にも、少数派にもなるのです。
多様性という言葉は、少数派のための言葉ではなく、一人一人がちがっていて、その違いを受け止めることが必要だということを、この本を通して学びました。 ぜひ一度読んでみてほしいです。
ここで大切なことは「多様性はすでに存在している」という厳然たる事実です。多様性が存在していないところから、何か別のものを取り込むことで多様性を「生み出す」と言う話ではないのです。
すでにそこに存在している「違い」について、社会がどう向き合いどう取り扱うのかという問題です。
この本のおかげで、「旦那とは”異文化コミュニケーション”だと思えばいいんだ!」と思えるようになり、互いの違いを受け止め、歩み寄れるようになりました。
発達障害の有無に関わらず、全国民にお勧めしたいです!(笑)
どの本も大好きな本で、もっともっと熱く語りたいくらい素敵な本ばかり。
発達障害のある子の(ない子でも)子育てのお役にたててもらえれば、幸いです。
おまめ