おまめ note

自閉症児ママによる、自閉症児ママのためのブログ

モンテの沼へようこそ|「発達障害児のためのモンテッソーリ教育」を読んで

みなさんはモンテッソーリ教育にどんなイメージを持っていますか?

おそらく、子育てに携わったことのあるほとんどの方がきいたことはあるのではないでしょうか。

これまでの私は、モンテッソーリ教育に対して

「英才教育」

「なんかよさそうなやつ」

「私立の幼稚園でやってそう」

「心に余裕がある人がやるやつ」 

こんなイメージを持っていました。   

そんなモンテッソーリ教育に携わる方々に大変失礼なイメージを払拭してくれたのが、こちらの本。

イメージが変わったどころか「モンテ、ええやん。これは沼るぞ……」とまで思わせるほど興味深い内容でした。

モンテッソーリ教育の魅力を知らない方に、ぜひ知ってもらいたいです。

特に「うちの子は発達障害かもしれない」「発達グレーで診断がつかなくて不安」と子育てに悩む方にもおすすめです。

「発達障害児のためのモンテッソーリ教育」の内容

発達障害について、モンテッソーリ教育の成り立ち、子ども一人ひとりをどのように見るのか、子どもとの向き合い方についてと内容盛りだくさん。

”感覚統合”という言葉は出てきませんが、それに近いしいことも書かれています。

苦手なことがあったとき、身体のどこに苦手な部分を抱えているのか。

<pその苦手に対してモンテッソーリ教育を発達視点で捉え、どのようにアプローチしていくのかが書かれています。

 

モンテッソーリ教育のことを”早期英才教育”だと思っていた私は、半信半疑で読み進めていました。

そんなうまいこといくわけなかろう。 ちょっと宗教じみていないかと。 

ところが、読めば読むほど今まで私が本や講習から学んできたこととの繋がりを感じ、気づいたときには近所にモンテッソーリ教育の幼稚園を探していました。

実は、Instagramでおうちモンテで人気のりっきーさん曰く、「日本のモンテッソーリ教育について書かれているの本で、発達視点で書かれているものは少ない」そうです。

りっきーさんの本もレビューしています!

本の後半は、モンテッソーリ教育を家庭でどのように取り入れるのか、具体的な遊び(モンテッソーリ教育では「お仕事」といいます)を紹介。

教材をつくるためのレシピも丁寧に解説してくれています。

発達障害を抱える子の特性から起こりうる困難への対応が、めちゃくちゃ詳しく書かれていて、まさしく”発達障害児のため”のモンテッソーリ教育

エピソードとして描かれている親子の姿が、めちゃくちゃリアルなんです。

(前略)自分の勝手な思い込みの子育てがうまくいかなくなると、自分の今までのうまくいっていた子育てが全否定されたように感じて、それは、子どもが悪いからなんじゃないかと思ったりしてしまうのです。 

共感しすぎて、思わず泣いてしまいました。  

「求心的統合」って何?

この本の中で、気になったのが「求心的統合」という言葉。

イギリスの医師ウタ・フリスが提唱した「時間という具体的な形のない概念に対する理解の困難さ」とのこと。

時間が経過して未来へ進んでいることが感じられず、終わりの時間が近づいていることが分からない状態で、多くの自閉症児が、この求心的統合が弱いといわれています。

現実は時間が流れているのに、その時間の経過を感じられないって、めちゃくちゃ不安ですよね。

自閉症児に”見通しを持たせる”関わりが必要なのは、想像する力が弱いということもそうですが、時間の流れを感じ取れないことも理由としてあるのかもしれません。

ただ「自閉症児には見通しを」という方法だけを知っているより、「なぜそれが必要なのか」という理由や背景、そのメカニズムを知ることでより丁寧に関われるようになります。

モンテッソーリ教育を提唱したのは、医師で教育者のマリア・モンテッソーリという女性です。

彼女がある精神科病院に見学に行った際、何もない部屋にいる数人の子どもたちを観察。

「子どもは、強制的に教えなければ何も学ばない存在ではなく、主体的に自己教育するものである」という気づきがきっかけになっています。

子ども一人ひとりが異なることを前提としたモンテッソーリ教育は、最初は知的障害児を対象として始まりました。

モンテッソーリ教育を受けた子どもたちの知的水準が向上したという結果から、定型発達の子にも広く使われるようになっていきました。

なぜ”英才教育”のイメージが?

モンテッソーリ教育を受けた著名な方は、たくさんいます。

マーク・ザッカーバーグ(Facebook創設者)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創設者)、日本人で有名なのは藤井聡太さん。

他にも、Wikipediaの創設者、Amazonの創設者などなど。

こういう方たちのインタビュー記事などを見た施設が「うちでは〇〇が受けたモンテッソーリ教育やってるよー!」と宣伝し始め、認知能力を上げるにはモンテッソーリ教育がいいんだ!と人気が出たようです。

モンテッソーリ教育を受ければ、わが子も「頭が良くて(認知能力が高くて)、創造性のある人になれるかもしれない!」と思っちゃいますよね。  

日本では、より「英才教育、早期教育、頭が良くなる」などのイメージが強いようです。

モンテッソーリ教育が大切にしていること

モンテッソーリ教育は、認知能力を向上させるためのものではなく、「自分の興味関心によって、自主的、主体的に学ぶ力」を伸ばしていくことが目的です。

モンテッソーリ教育が本来大切にしていることは、”非認知能力”といわれるものです。

自主的に学ぶ力は、本来その子の内側に備わっているものであるというのが、モンテッソーリ教育の考え方です。

モンテッソーリ教育を受けたとされる著名な方々には、この非認知能力が高く、創造性が豊かな方が多いです。

一斉・一律、みんなと同じ場所で、同じやり方で、同じスピードで学ぶ環境では、子どもが持っている興味関心、主体性、自主性、集中力はなかなか育まれません。

これは発達障害があるなしに関わらず、どんな子にも共通して言えることです。  

もちろん、一斉・一律の教育がこれまでの経済を成長させ、支えてきた事実もあります。

しかし、これからの時代は「自分で考える力」が必要とされています。

自分で考える力を伸ばすために、自分で選び、集中して取り組み、自分で自分を教育していく環境を整えていくのがモンテッソーリ教育。

英才教育ではありません。

子どもたちを見る目が変わった

この本を読み終えて、私は息子たちを見る目が変わりました。

どんな遊びを繰り替えしやっているんだろう?

どんな作業に興味を持っているんだろう?

ワクワクした気持ちで,、子どもたちを観察するようになりました。

次男のいたずらを「何がしたくてこんなことをしたんだろう?」いう視点で見れるようになったのには、自分でも驚きでした。

「学びの法則」は最高のサイクル

モンテッソーリ教育は、障害があってもなくても、子どもはみんな「自立したい」「学びたい」という気持ちをもっていてると考えます。

子どもたちが本来持っている主体的に学びたいという気持ちに寄り添い、大切にすることって、子育てにとって大切なこと。

「興味・関心」から出発し、「主体的な自己選択」→「集中現象」何度も繰り返し「達成感・満足感」を味わう。

この「学びの法則」を繰り返すうちに、より早く、より簡単にできるように動作を獲得していきます。

赤ちゃんはティッシュやおしりふきを、夢中になって出し続けます。1回ごとに摘まみ方、引く力・角度などを微妙に変えながらその動作を獲得していると思うと、なんだか微笑ましいですよね(大変困りますが笑)。

何かができるようになる=認知能力の獲得には、この学びの法則が必要不可欠。

このプロセスをたどった先にあるのが「できるようになった!」という結果です。

そうして得られた達成感がまた、新たな興味・関心を引き起こします。

なんて最高のサイクルなのでしょうか!

 

一度、モンテッソーリ教育の沼へお越しください!

 

おまめ