こちらの続きです。
診断されるまで、辛くて、しんどくて、逃げ出したくなるような毎日でした。
医師から「自閉症スペクトラム障害です」と告げられ、これまでの子育てを「大変でしたね」と労ってもらい心が軽くなったのを今でも覚えています。
久しぶりに感じた長男への愛しさに、これまで以上に大切に育てていこうと誓い直したのもつかの間。
前向きな気持ちは、長く続きませんでした。
「障害」の重さに気づく
診断名を告げられたときに、涙を流すことはありませんでした。
どちらかと言えば、これまでの育てにくさに答えをもらえたようで、ポジティブな気持ちでいました。
長男の診断に対して「大丈夫?」「辛いね」という言葉をかけられる度に、
「診断名がつくことは辛いことなのか」
「普通は泣くものなのか……」
次第に、現実に引き戻されていきました。
泣いても泣いても、足りなかった
それからは、毎日泣いていました。
想い描いていた理想の家族が崩れ、将来が暗く悲しいものへと一変……。
この子は友達と遊んだり、恋愛をしたり、就職や結婚など、私が経験してきた喜びや幸せを経験できないのかもしれない。
絶望でした。
あのとき、長男の気になることを紙にたくさん書いたりしたから、長男を障害者にしてしまったのではないか……。
誇張して書いてしまったのかもしれない。
それとも、先生が大げさに受け取ってしまったんじゃないかな。
すぐに診断つくなんて、普通なのかな……。
自閉症と診断がつかなければ、これまでと同じ未来を想い描いていられたのかもしれないのに。
何も知らないまま、笑顔で生きていけたのかもしれないのに。
すべて私が悪いのだと、自分を責め続けました。
知ることで変わり始めた
診断がつく前は、だれも私の気持ちなんて分かってくれないと孤独でした。
診断がついてからも、自分が悪いことをしてしまったと罪悪感でいっぱいで、クリニックを受診するたびに
「やっぱり、自閉症ではないんじゃないか」
「診断名が覆ることはないのか?」
「先生はこれまでに誤診をしたことはないか?」
「この先、診断名がなくなることはあるか?」
など、何度も同じ質問をしました(失礼な質問もありますね……)。
まだ2歳の長男に障害を背負わせるということが、どうしても受け入れられなかったのです。
何度聞いても、長男は自閉スペクトラム症だと、医師の答えは変わりませんでした。
もし願いが叶うなら、長男の障害を代わりに背負ってあげたい。
何度も何度も神様にお願いをしました。
現実を受け止めきれず関わり方も分からないままで、次第に長男のことを腫れ物に触るかのような接し方をするようになっていきました。
ある日、旦那から「本を買いに行こう。もっと障害のことを知りたい」と提案がありました。
そのとき購入したのは、
他にも数冊買いましたが、よく読んだのはこの2つです。
他にも、通い始めていた療育の先生におすすめの書籍を借りたり、発達障害に関する情報を得るように動き始めました。
次第に、得た情報から客観的に「自閉症」を捉えることができるようになっていき、前向きに考えられることが増えていきました。
同じ頃、療育に通い始めて3か月をすぎた長男の成長が見え始めました。
自発的に言葉を言うことが増え、伝わったときに笑顔が見られるように。
長男が生まれてから初めて、”心が通い合う”ということを感じ、少しずつ子育てが楽しいと思えるようになっていきました。
前向きになれたきっかけ
それでも、長男の子育てに悩みは尽きず、意思を持ち始めた次男との日々は毎日必死でした。
落ち込んだり頑張ろうと思えたり、不安定な日々の中で支えになったのはInstagramでした。
診断を受けてから3か月ほど経ったころに始めたInstagramには、同じ境遇のママがたくさんいました。
同じ時期に診断を受けていたり、同じような悩みを抱えながら必死に子育てをしている人たちの存在が、私を孤独から救ってくれたのです。
誰にも共感してもらえなかった苦しみに、「共感です」「わかります!」「うちも同じ!」と言ってもらえることが、どれだけ嬉しかったか。
これからも支えあっていきたいです。
「知ること」の大切さ
診断を受けてから毎日泣いていた頃、
将来この子はどうなるのだろうか。
どれほどの困難が待ち受けているのだろうか。
これから先私たちはどう生きていけばいいのか……。
自分が経験してきた人生とは、全く違う道を歩んでいく長男の将来に不安しかなく……。
今でも将来への不安はありますが、長男の成長とともに、なんとなく将来こうなるのではないかとぼんやりとしたイメージを持てるようになりました。
なんとなくでもイメージできるようになると、これから待ち受けているであろう課題に対して、「今から備えておくべきことは何か」を考えることができます。
今やるべきこと、将来のために備えることを具体化するためには、ある程度の知識が必要です。
診断を受けて絶望を感じていたのは、「発達障害」のことを知らなかったから。
知らないから、すべてが怖くて、不安でした。
少しずつ知識を得ていくことで、その怖さや不安は少しずつ和らいでいきました。
長男が自閉症と診断されたことで、知れたこと、気づけたこともたくさんあります。
私自身の成長にも繋がりました。
今できることに目を向ける
Instagramを始めた当初、「発達障害に関する本を読むのが怖い。我が子の障害を現実として受け止めなればならないようだ」と話してくれた方がいました。
この言葉は、今でも私の心に残っています。
実際、二次障害のことを本で読んだときは、思わず逃げ出したくなりました。
でも、もし実際に二次障害になってしまったとき、「もっと早く知っておけばよかった」と後悔するほうがきっと辛いはず。
いろんなことを習得するまでに他の子よりも時間がかかる長男だからこそ、今できることに目を向けてコツコツと積み上げていこうと思えるようになりました。
でも、やっぱり「障害」はあるより、ないほうがいいです。
子どもが辛い人生を歩むことを、望む親なんていません。
だからこそ、障害があっても「幸せ」だと感じられる人生を歩んでもらいたい。
そのために、親としてできることを考え続け、長男と一緒に長男の幸せを探し続けていきたいです。
おまめ